ウォールナット(ヨーロピアンウォールナット):和名:胡桃
高級木材で知られ世界三大銘木の中の一つ。ゆっくりと成長するため、木目は細かく締まったものとなり、家具にした時にゆがみや収縮が少ないそのため正確な作業に適しております。そのため当時の邸を飾る装飾性の高い、高級家具に使われてきました。
材質により繊細で立体的な彫刻や粘りもありカーブなどの加工にも向いております。その美しい木目は薄くスライスして突板として使ったり、寄木細工などの細かい表面装飾としても使われております。金箔との相性もいいため、ロココ調の家具にも使われております。寄木細工の下地にも使われました。安価な木材が下地として使われている場合は、時間が経つと下地が動いて状態が悪くなるものがある中で、狂いが少ないウォールナットを下地にし家具は、長く残っています。ウォールナットは当時生み出された、様々なのつくりや技術に対応できる数少ない木材なのです。それゆえ高級家具に使われてきたのです。
ヨーロッパでは16世紀から17世紀にかけて「富の象徴」と言われきました。
ヨーロッパのウォールナットは17世の大寒波により数が激減、輸出大国であったフランスでも輸出禁止措置を取りました。
18世紀から20世紀初頭までウォールナットを使用した芸術作品のようなアンティーク家具がございます。当時、一部の限られた人たちにオーダーされた家具(建築物も含める)にも多く使われたがために、全体の数が減りウォールナットが現代でも高級木材として扱われているのでしょう。
まとめると↓
ウォールナット材は木目の見かけがよく加工性と持ちの良さが人気。それによる需要の高さ、数の減少により価格が高騰していき、現代では高級木材として知られているのです。
現代(現行家具)
一般的にウォールナットというと「ブラックウォールナット」を指します。
アメリカやカナダなど北米が産地。
ブラックウォールナットはもともとこげ茶をしており、時間がたつと赤褐色を経由し色が薄くなっていきます。それは木材の紫外線の吸収により中に含まれるタンニンが酸化するためです。太陽光の当たる状況下ではその変化が大きい。
堅い材質を利用し主にテーブルの天板など無垢材としての使用が多い。粘りがあまりないため繊細な装飾には不向きなようです。
ウォールナットと一言にいってもいくつかの種類や部位によっても呼び名が違います。
昔(アンティーク家具)
アンティーク家具に使われているものは「ヨーロピアンウォールナット」
和名(クルミ)ヨーロッパのほぼ全域、中東部にも分布。
こちらは明るい茶色でその美しい木目を使い、突板としてや寄木細工、加工性と仕上がりのよさからお屋敷や宮廷を飾る彫刻の多い家具やマーケトリーやインレイを施される高級家具につかわれてきました。
装飾部分や装飾の施されるフレームに使われるほか、突板として使用する場合、心材にはオークなど硬質な木材を使用しました。
ヨーロピアンウォールナットは材質としては堅牢。そのため丈夫な家具を作れ、さらに加工性の良さ、美しい木目のため高級家具に使われそれらをもとめる裕福層からの人気も博しました。
また着色をすることによってその美しい木目が出るため、アンティーク家具では多くが赤茶色に着色をされております。フランスのシャトーを飾る家具には制作当初から複数のカラーでペイントされているものがございます。それは加工性の良さのほか、塗料が塗りやすく、はがれにくいからとのことです。ちなみにこちらのウォールナットは紫外線に当たると色が濃くなっていく性質があります。ブラックウォールナットとは逆ですね。
アンティーク家具の場合の見分け方としては塗装のされていない断面を見ること。ヨーロピアンウォールナットとされているものの場合、もともとの材質の色は明るいベージュ。しかしアンティーク家具の場合は100年以上の月日がたっているため、家具の保存状況により個体差が生じ、それぞれの色に変化しております。そのためアンティーク家具においてはブラックウォルナットかヨーロピアンウォールナットなのかは100%の断定は難しいかもしれんせん。